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【実例151件】失注分析のやり方|電話・メールで断られた理由から分かった3つの壁

公開日 最終更新 執筆 マーケティング+編集部

【実例151件】失注分析のやり方|電話・メールで断られた理由から分かった3つの壁
KEY POINTSこの記事の要点約14分で読めます
  • 失注分析は相手の言葉のまま記録し、分類・集計・打ち手の決定・翌月の検証までの5つの手順で進めます。
  • 理由を「価格」「その他」にまとめると打ち手が見えず、1件に複数の理由を混ぜると集計が不正確になります。
  • まずは直近の断りを相手の種類・部署・言葉・次に動ける時期の4項目で書き出し、多い理由から打ち手を1つ決めます。

失注分析とは、商談が成立しなかった理由を記録し分類して、次の営業活動の改善に生かす取り組みです。商談のあとの失注だけでなく、電話やメールの段階で導入に至らなかった理由も同じ考え方で分析できます。本記事では失注と逸注の違いと理由の分け方を説明し、5つの手順と実際の分類例を順に解説します。

1. 失注分析とは何か?

左列に断られた理由をそのまま残す5つの問題点、右列に失注分析の5つの対応策を並べた比較図。
失注分析とは、断られた理由を記録してパターンに分け、次の営業活動に生かす作業です。

失注分析とは、商談が不成立に終わった案件の理由を記録し、パターンに分けて次の営業活動に生かす作業です。相手に断られた理由をそのままにせず、営業先の選び方や提案の内容を見直す材料にします。

実証や共同研究のあとの商談で止まる場面でも、失注分析を続ければどの段階でつまずきやすいかが見えます。営業先リストの作り方や提案の順序を調整でき、実証後の導入先開拓を進める際の判断材料になります。

1-1. 失注と逸注は何が違うのか?

失注とは、一度商談のテーブルに乗った案件が不成立になることです。本記事では、商談の機会を得られずに終わった案件を逸注と呼び、失注と区別します。

商談化する前に電話やメールの段階で断られた場合は、本記事の区分では逸注に当たります。ただし実務上は、どちらも「導入に至らなかった理由」を記録して分析する対象として扱えます。

  • 失注:商談化した後に不成立になった案件
  • 逸注:商談化する前に終わった案件
  • 共通点:どちらも理由を記録し分類する価値がある

問い合わせの商談化がうまくいかない場合も、逸注の理由を分析することで対策を検討しやすくなります。

1-2. 商談になる前の断りも分けられるのか?

商談になる前の断りも、同じ分類の枠組みで数えることができます。電話やメールの段階で得られる情報は限られますが、相手の反応の種類を記録すれば分析対象になります。

  • 相手の反応を記録する:どの部署の誰が、どんな言葉で断ったか
  • 分類の枠組みを統一する:商談後の失注と同じ分類軸を使う
  • 件数で見る:1件1件を数えることで傾向が見える
  • 時期も記録する:今は断られても将来動ける時期がないか確認する

この考え方は、3章で紹介する5つの手順でも共通して使います。

2. 失注の理由にはどんなものがあるのか?

2列の表で相手側の理由と営業側の原因を定義・具体例・特徴の3行に分けて比較し、結論を下部に示した図。
失注の理由は相手側と営業側の2つに分かれ、自社で変えられるかどうかを区別することが改善の出発点になります。

失注の理由は、大きく「相手側の理由」と「営業側の原因」の2つに分けられます。

この一覧は、商談のあとの失注にも、商談前の断りにもそのまま使えます。失注理由を具体的に言葉にすると、改善すべき点が自社にあるのか、相手の事情によるものなのかを区別できます。両方を混同すると、打ち手が的外れになりがちです。

営業の道具を提供する会社の整理でも、失注の要因をまず内的要因と外的要因に大別し、そのうえで製品・価格・営業プロセスなどの細かい分類に分ける進め方が紹介されています(売る側の整理)。

出典: 失注分析のやり方とは?|営業DX Handbook by Sansan

2-1. 相手側の理由

相手側の理由とは、顧客の予算・体制・タイミングなど、自社の働きかけだけでは変えにくい事情を指します。代表的な例には次のようなものがあります。

  • 予算が確保できていない
  • 決裁者が不在、または決裁プロセスが複雑
  • 既存の仕組みや取引先を使い続ける方針
  • 競合の製品・サービスを選んだ
  • 導入のタイミングが合わない
  • 社内の優先順位が他の案件より低い

これらは営業担当者の努力だけでは解決しにくい面があります。ただし相手の選び方や接触のタイミングを工夫すれば、影響を小さくできる場合があります。

2-2. 営業側の原因

営業側の原因とは、提案内容や接触方法など、自社の工夫次第で改善できる要因を指します。相手側の理由と違い、記録と検証を重ねることで次の商談に生かしやすいのが特徴です。

  • 対象選定のずれ:規模や業種が合わない先に提案している
  • 提案内容の不一致:顧客の課題と提案がかみ合っていない
  • 接触タイミングのずれ:検討の開始前や終了後に接触している
  • 届け先のずれ:決裁者に提案が届いていない

2-3. 相手側・営業側の理由を並べて見る

次の表は、2-1と2-2の理由を「自社で変えられるか」という視点で並べたものです。

理由の種類具体例自社で変えられるか
対象選定のずれ規模・業種が合わない先への提案変えられる
提案内容の不一致顧客の課題と提案がかみ合わない変えられる
届け先のずれ決裁者に提案が届いていない変えられる
接触タイミング検討開始前・終了後の接触一部変えられる
競合の選択他社製品の採用一部変えられる
決裁者の不在決裁する人がいない・決まらない変えにくい
予算の制約顧客側の予算が確保できない変えにくい
既存取引の継続既存の仕組みを使い続ける方針変えにくい

この表のとおり、失注理由のすべてが自社の努力で変えられるわけではありません。ただし「対象選定」と「提案内容」は自社の工夫で変えられる領域なので、ここから着手すると打ち手を決めやすくなります。

3. 失注分析はどう進めるのか?(5つの手順)

失注分析は、記録・分類・集計・打ち手の決定・検証という5つの手順で進めます。

この手順は、商談のあとの失注にもそのまま使えます。手順を決めずに感覚で振り返ると、同じ理由を見落としたり、担当者ごとに判断基準がばらついたりします。5つの手順を固定することで、誰が記録しても同じ基準で分析しやすくなります。

3-1. 手順① 相手の言葉のまま記録する

最初の手順は、相手が話した言葉をそのまま記録することです。営業担当者の解釈を加えずに記録することで、後から正確に分類できます。

記録する項目は次の4つを基本とします。

  • 相手の種類:既存顧客・新規見込み客・代理店など
  • 部署:技術部門・購買部門・経営層など
  • 断りの言葉そのまま:相手が発した表現を要約せず記録
  • 次に動ける時期:今は難しくても将来動ける可能性の有無

営業の道具を提供する会社の整理でも、いつ・どの商談で・誰が決めたか・何を提案したか・なぜ失注したと考えているか・どのような経緯だったか、の6つを記録することから始める方法が紹介されています(売る側の整理)。

出典: 失注する9個の要因|Salesforceブログ

言葉をそのまま記録しておくと、後の手順で「評価・懸念・断りの理由」のどれに当たるかを判断しやすくなります。

3-2. 手順② 読んでから分ける枠を決める

2つめの手順は、記録した言葉を読んでから分類の枠を決めることです。

分類の枠は、まず「評価」「懸念」「断りの理由」の3つに大別します。

  • 評価:提案内容に対する相手の受け止め方
  • 懸念:導入に当たって相手が感じている不安
  • 断りの理由:導入しない・できないと判断した根拠

評価・懸念・断りの理由は、記録した言葉を仕分ける最初の枠です。断りの理由はさらに2章の相手側・営業側に分けます。この3分類をベースに、自社の商材や営業プロセスに合わせて細かい枠を追加していきます。

3-3. 手順③ 1件1つに分けて数える

3つめの手順は、1件の案件を1つの理由に分けて数えることです。1件に複数の理由が混在していると、集計結果が不正確になります。

  • 主たる理由を1つ選ぶ:複数の理由がある場合は決め手になったものを選ぶ
  • 断りの理由を相手側・営業側のどちらかに分類する
  • その他に逃げない:分類に迷う場合は枠を見直す
  • 件数を正の字やスプレッドシートで記録する

SFAを導入している場合は、失注理由の入力項目を活用すると記録と集計の手間を減らせます。SFAがなくても、表計算ソフトで代用できます。

3-4. 手順④ 多い理由から打ち手を決める

4つめの手順は、件数が多い理由から優先的に打ち手を決めることです。すべての理由に同時に対応しようとすると、リソースが分散し効果が見えにくくなります。

  • 件数を多い順に並べる
  • 上位2〜3つの理由に絞って打ち手を検討する
  • 自社で変えられる理由を優先する(2-3の表を参照)
  • 打ち手は具体的な行動に落とし込む

打ち手は「対象の選び方を変える」「資料の説明順序を変える」など、次の接触で実行できる具体性まで落とし込みます。

3-5. 手順⑤ 翌月に同じ数え方で確かめる

5つめの手順は、翌月以降も同じ分類の枠と数え方で記録を続け、変化を確かめることです。1回の集計で終わらせず、継続して比較することで打ち手の効果を確かめられます。

  • 同じ分類の枠を変えずに使う
  • 月ごとの件数の推移を記録する
  • 打ち手を実行した月と前月を比較する
  • 効果が見えない場合は枠自体を見直す

5つの手順を固定して回すと、失注分析を一時的な作業ではなく継続的な改善の仕組みとして運用しやすくなります。

4. 電話・メールで断られた理由151件を分けると何が見えたのか?

タイトルと3つのカード(対象の規模の不足・組織内の決裁者の不在・既存の仕組みの利用)が並び、矢印で151件中107件が3つの壁に集中という結論ボックスへつながる図。
断りの理由が特定できた151件のうち107件が、規模不足・決裁者不在・既存の仕組みの3つの壁に集まりました。

断りの理由は散らばって見えますが、1件1つに分けて数えると、いくつかのまとまりに集まります。ここからは3章の手順で実際に数えた見本です。商談のあとの失注ではなく、電話・メールの段階で導入に至らなかった理由を分けた結果ですが、数え方は商談のあとの失注でも同じです。

4-1. 対象と集め方

対象は、研究開発型のB2B企業の営業活動です。売る相手は自治体と企業です。

  • 対象期間:2026年6月〜9月の通話
  • 対象:電話・メールで、導入や検討に至らない理由が分かった151件
  • 記録方法:対応履歴に残る通話を1件ずつ読み直した
  • 分類方法:「評価・懸念・断りの理由」の3つに分け、断りの理由は1件の通話を中心の理由1つに分類した

4-2. 151件のうち107件が3つの壁だった

断りの理由を3-4の手順で多い順に並べると、上位の理由のまとまりが見えてきます。本記事では、件数の多い理由のまとまりを「壁」と呼びます。壁ごとに打ち手を決めると、手を付ける順番が明確になります。

壁中身件数小分類
① 対象の規模の不足相手が管理する施設や業務が少なく、道具が要らない37企業19・自治体18
② 組織内の決裁者の不在所管が分かれていて、電話に出た方では決められない37所管の分散・決定権の不在18/人手・時間の不足14/委託先や地域に任せている5
③ 既存の仕組みの利用すでに別の仕組みで管理している33自前・県・地図のシステムなど24/他社の道具9
3つの壁以外—44今のやり方で足りている27/営業電話の断り14/計画づくりの途中3

新規顧客開拓の全体像についてはこちらの記事でも解説しています。

5. 3つの壁はどう越えるのか?

3つの壁は、壁の種類によって越え方が異なります。第1の壁は接触前の設計で減らすことを目指せ、第2・第3の壁は1回の接触だけでは越えにくい性質があります。

5-1. 第1の壁は相手の選び方で減らせるのか?

第1の壁である対象の規模の不足は、接触前の対象選定で減らすことを目指せます。規模が合わない先に接触してから断られるのではなく、接触前に条件を絞り込むことが有効です。

  • 販売先の条件を数字で定義する:従業員規模・施設数・予算規模など
  • 条件に合わない先をリストから事前に除外する
  • 条件の精度は接触結果を見ながら継続的に調整する
  • 実証後の導入先選定でも同じ考え方が使える

対象の選び方を変えることで、「規模の不足」による断りを減らせる可能性があります。実証後の導入先開拓を検討する際は、対象選定の段階から条件を明確にしておくと進めやすくなります。

5-2. 第2・第3の壁は1回の接触では越えにくい

第2の壁である決裁者の不在と、第3の壁である既存の仕組みの利用は、1回の接触だけでは越えにくい壁です。前向きな反応があった先への2回目の提案と、担当者が社内で説明に使える資料の用意が求められます。

  • 1回目の接触で前向きな反応があった先をリスト化する
  • 2回目の提案のタイミングをあらかじめ設計する
  • 担当者が上司への説明に使える実証依頼書を用意する
  • 実証依頼書には導入のメリットと負担の少なさを明記する

6. 分類を形だけにしないための注意点

3段構成の図解。①価格・その他に分類しない手順、②表の理由と裏の理由の違いを探る手順、③分類の精度を上げて打ち手につなげる4つのポイントが並ぶ。
「価格」「その他」に逃げず、相手の言葉の裏を確認することで分類の精度を高め、打ち手につなげられます。

分類を形だけの作業にしないためには、「価格」や「その他」に逃げないことと、相手の言葉を鵜呑みにしないことが欠かせません。

6-1. 「価格」「その他」にまとめない

失注理由を「価格」や「その他」にまとめてしまうと、改善につながる具体的な打ち手が見えなくなります。価格を理由に挙げられた場合でも、その背景を掘り下げる必要があります。

  • 「価格が高い」の背景に「予算が確保できていない」がないか確認する
  • 「その他」に分類した件数が多い場合は枠を見直す
  • 枠の見直しは3-2の手順に戻って行う
  • 曖昧な分類のまま集計しても打ち手が見えてこない

分類の精度を上げる作業は一度で終わらず、継続的に枠を調整していく性質のものです。

6-2. 相手が言う理由と本当の理由は違うことがある

相手が口にする断りの理由と、実際の判断理由が異なる場合があります。相手が角の立たない表現を選ぶ場合もあるため、言葉の裏にある事情を推測する姿勢が必要です。

  • 「検討します」は先送りや断りの意思表示である場合がある
  • 「予算が合わない」の裏に「優先度が低い」が隠れている場合がある
  • 次の接触で状況を確認し、裏の理由を探る
  • 裏の理由が分かれば分類を修正する

ただし推測だけで分類を決めつけず、次の接触で確認できた事実をもとに修正することが大切です。

よくある質問

Q. 失注の理由を相手に聞いてよいのか?

A. 聞いて問題ありません。断られた直後に理由を尋ねることで、相手も答えやすくなる場合があります。ただし深追いせず、次の接触につながる聞き方を心がけることが大切です。

Q. 商談のあとの失注と商談前の断りは同じ表で数えてよいのか?

A. 同じ分類の枠組みで数えられます。本記事では商談前の断りを逸注と呼んで区別していますが、理由を記録し分類する目的は共通しています。

Q. SFAが無くても始められるのか?

A. 始められます。表計算ソフトに相手の種類・部署・断りの言葉・次に動ける時期を記録するだけで、3章の手順は実行できます。

Q. 失注の理由の例は何ですか?

A. 代表的な例には、予算が確保できない、決裁者が不在、既存の仕組みを使い続ける方針などがあります。これらは2章で紹介した相手側の理由の典型例に当たります。

Q. 受注と失注の違いは何ですか?

A. 受注は契約に至った結果、失注は商談化したのに契約に至らなかった結果です。

まとめ

  • 失注分析は、断りの理由を相手の言葉のまま記録し、自社で変えられる理由かどうかで分けて打ち手の順番を決める取り組みです。
  • 記録・分類・集計・打ち手の決定・検証の5つの手順を固定すると、商談前の断りも同じ枠組みで数え続けられます。
  • 規模不足の壁は接触前の対象選定で減らすことを目指し、決裁者不在や既存の仕組みの壁には2回目の提案と実証依頼書で働きかけます。
  • まずは直近の断りを、相手の種類・部署・言葉・次に動ける時期の4項目で表に書き出し、件数の多い理由から1つ打ち手を決めて翌月に同じ数え方で確かめてください。

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